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【革について】

・皮から革へ    

まず作業説明の前に、使用する革について紹介させて頂きます。

当工房でメインとして扱う革は牛革となります。
その牛の「皮」の状態では、固くなったり腐敗してしまいます。
そこで鞣し(なめし)という行程を経て製品として扱える「革」へと変貌します。

鞣し方は、大きく分けて2種類あります。

1つが「クロム鞣し」と呼ばれる比較的近年開発された、三価クロムを使用した
科学的な鞣し方です。短時間で大量に鞣す事の出来る量産型の革であり、現在世
の中に最も多く出回っている鞣し方です。

もう1種類は当工房で取り扱う「タンニン鞣し」と呼ばれる木の渋などを抽出し
た植物タンニンを使った方法です。

天然素材を使う意味合いから、フルベジタブルタンニン鞣し。
もしくは俗称としてヌメ革とも呼ばれます。

タンニン鞣しは古来から伝わる方法でありますが、原料が高い上に作業行程も多
く、膨大な手間もかかる点から、非常にコストのかかる高品質な革であります。

尚、余談ではありますが、処分などで革モノを焼却する際に、タンニン鞣しの革
は特に問題はありませんが、クロム鞣しの革は燃やす事により、クロムが化学反
応を起こして、人体に影響を及ぼす有毒ガスを発生させます。
万が一、クロム鞣しの製品を処分する際には、くれぐれも注意して下さい。

牛1頭を背中から真っ二つにした半裁と呼ばれる
状態。左が頭で右がお尻となり、サイズの比較と
して右上にタバコを配置しています。

・経年変化    

ヌメ革とクロム革の特徴を比較するとそれぞれに長所、短所がありますが、大き
な違いとしましては、タンニン鞣しの革は使い込む程に艶、味が増し、飴色へと
変化を遂げる経年変化を体感出来ます。

左写真は同じ革で制作した未使用と2年使用している同デザインの財布です。
もはや全く別物と扱ってもよい変わり様です。経年変化は日焼けや摩擦、手の油
などで経過が進み、我が子を育てる感覚同等の愛着が持てます。

これらの魅力である経年変化は、クロム鞣しにはありません。
クロム鞣しもタンニン鞣しも「本革」である事に間違いありませんが、タンニン
鞣しの革の方が、より「革らしい革」と呼べる革であります。

左が未使用。右が約2年使用している財布。
使い込む事により、革特有の味が出るのが魅力。

・レザーカービング

経年変化に加え、もう1つの大きな違いが後ほど詳しく説明させて頂く「カービ
ング」と呼ばれる技法で、この技法はタンニン鞣しの革でしか出来ません。

クロム鞣しで出来ない理由は、タンニン鞣しの特性である、水に濡らすと柔らか
くなり、乾くと硬くなるという可塑性を利用して行うからです。

カービング技法だけでなく、革の形を立体的に変形させる「型出し」と呼ばれる
技法も、この可塑性を上手に使いこなす事によって出来る、タンニン鞣しならで
はの特徴であります。

・ハーマンオークレザー

高価とされるヌメ革の中でも、安価なヌメ革と高価なヌメ革があります。
安価な革ほど、鞣される時間が短かったりするので、経年変化は殆ど感じれず、
劣化も早かったりします。

当工房で扱う革ですが、数あるヌメ革の中から「ハーマンオークレザー」を使用
します。ハーマンオークレザーの歴史は1881年創業。レザークラフトの本場アメ
リカのミシシッピに位置するハーマンオーク社によって鞣される革です。

ハーマンオークレザーは、最高品質の米国原産ステアハイドの原皮のみを使用し、
良質天然オークパーク(樫科植物)の樹皮より抽出したタンニンで長時間かけて
生産される最高級のヌメ革です。

古くからカウボーイの愛用する鞍(くら)にも使用されるタフな一面も見せ、仕
上がりが堅めな点からカービングにも適しています。

また、劇的な経年変化を遂げるのも特徴の1つです。
私自身がハーマンオークに辿り着く前に、様々なヌメ革で作品を制作しましたが、
ハーマンオークレザーと安価なヌメ革との経年変化の差は、一目瞭然です。

そんな最高品質のハーマンオークレザーを惜しみなく使い、本体パーツは勿論、
レースやベルト、ウォレットロープに至り、末永く愛用して頂ける作品を提供す
る為にも、ハーマンオークレザーに拘ります。

・各部位の特性

人間の肉の付き方でも、引き締まった箇所と贅肉が多い箇所がある様に、革製品
として取扱う牛の肉の付き方にも、同じ事が言えます。

牛に関しては左写真の赤色がベンズと呼ばれる箇所で、背中からお尻にかけて繊
維が詰まり、質・強度・耐久性の優れた箇所となります。
青色のショルダーがベンズに比べると質が落ち、緑色のヘッド、黄色のお腹とな
るベリーは繊維も荒く伸び易い為、製品としては扱うには向いていません。
これは最高品質を誇るハーマンオークレザーでも例外ではありません。

仮にベリー部分を使ったベルトを着用すると、使っていくうちに革がドンドン伸
びてしまい、使用前と使用後のベルトの長さが異なってしまいます。
そうなるとベルト本来の価値を失う事になってしまいますので、その様な事態に
ならぬ様、作品の用途に応じた部位を選択し、丈夫な作品へと仕上げていきます。

赤色:ベンズ(背中)
黄色:ベリー(腹まわり)
青色:ショルダー(肩)
緑色:ヘッド(頭、首)

・繊維方向    

部位によって特性が違う様に、繊維の方向にも違いがあります。
繊維は場所によって様々な方向を向いています。左写真の様に、ベリー部を除く
と、全体的に背中から脚にかけて流れている事が解ります。

繊維方向で柔軟性・伸び易さが異なり、これらを意識せずに作品を制作すると、
長年使用していくうちに歪み・形崩れといった、不具合の元になってしまいます。

作品を制作する上で、折り畳む頻度の多い柔軟性が求められるパーツや、タフに
扱われる事が想定され、耐久性が求められるパーツなどそれぞれのパーツの用途
と、繊維の方向を意識しながら各パーツを断裁していきます。

・厚み

革の原皮は5mm前後の厚みがあります。その原皮を、使い勝手の良い厚さに漉
いて利用します。当工房では作風に合わせた作品作りの為に、常時5種類(0.9
・1.3・1.6・1.9・3.2mm)の厚みの革と、ベルト用に4.2mmの革を用意して
おります。

財布を制作する際は外側は1.9mmと厚みのある革を選び、中パーツは薄めの1.3
と0.9mm厚の2種類を使い分け、絶妙な使い易さを追求した作品を制作します。

ご要望次第では、ギャラリー記載の作品より、もう少し厚くor薄く希望したい。
といったお声にも、可能な限り対応致しますので、お気軽に申し付け下さい。

【縫製】

・手縫いへの拘り

当工房の縫製は全て手縫いで行い、ミシンは一切使いません。
正確にはミシンでは取り扱えない材料にて縫製を行いますので、ミシンで作業を
する事が出来ないのです。

縫製時に取り扱う材料は2種類あります。
一般的に糸と解釈されるシニューと呼ばれる素材と革紐(レース)を使用します。

シニュー糸だとミシンを使うより縫製作業は10倍以上の時間を擁します。
縫い始めと縫い終わりで1時間以上かかる事も珍しくなく、コストを考えると死
活問題のロスです。かがり縫いだと、シニュー以上の時間を擁します。

しかし、手縫いには時間を費やした分、後世に残る作品達への寿命を格段に伸ば
す耐久性と、機械では生み出せない手縫いならではの味わいがあります。

ハンドメイドをモットーに掲げる身として、非能率な手縫いは使命であります。

・シニュー    

シニューは本来、動物の腱を束ねて作られた糸ですが、現在は入手困難となり、
同等の品質を再現した、ナイロン製の糸を示します。
手縫いで扱う糸の中でも、絶大なる強度を誇り、仕上がりが太めの糸ですが、太
さを調整して縫う事が可能な糸です。

また、現在シニューを扱えるミシンは世の中に存在しないので、シニュー縫い=
手縫いの証とも言えます。

縫い方ですが、布を縫う感覚で革を縫おうとしても縫えません。
手縫いで縫う場合、まず縫い穴となる箇所の印をつけ、専用工具にて全ての縫い
穴を空けてから、縫い始めとなります。
ミシンなら事前に穴を空けずに直接縫う事が可能ですが、手縫いですと、それで
は縫えないので、事前準備が必要となります。

縫う箇所の長さの3〜4倍のシニューを用意し、糸の両端にそれぞれ針をセット
します。1本に糸に対して2本の針の準備して縫い始めとなります。
1つの穴に2本の針を交互に通し、1穴縫う度に「ギュッ」と縛りながら、1針
1針丁寧に縫い進めていきます。

負担の掛かる箇所は2重縫いにしたり、折り曲げ箇所などで、縫う力の強弱をつ
けるなど工夫しながら仕立てます。

また、糸が切れない様に細工をしていますが、長年使用して、万が一糸が切れて
しまって場合、ミシン縫いですと、切れた場所からズルズルとほどけてしまい、
あっという間に分解。なんて事もあります。その点、手縫いに関しては、切れた
場所で糸が踏みとどまってくれますので、最悪の事態は防げます。
また、切れてしまっても、安易に修理が出来る魅力があります。

シニューでも数種類のタイプのシニューが存在します。
タイプによっては色落ちしてしまうシニューもありますが、当工房で使用するシ
ニューは繊維自体を染めているシニューですので、色落ちする事無くお客様のお
好みのカラーステッチを存分に楽しむ事が出来ます。

シニューカラーの詳細は【SELECT】からお選び下さい。

縫い終わりは不要な糸をカットして…。

火で炙りダマにする事で、解れない様にします。

・レース    

薄く漉いたハーマンオークレザーを3mm幅の長さに揃えた、革紐(レース)を
編み込んで仕立てる縫い方で、かがり縫いとも呼ばれます。

縫う箇所の長さの7〜8倍のレースを必要とし、ロングウォレットを編み込むの
に5メートル前後のレースを使用する事になります。

シニュー同様、縫い始める前に縫い箇所となる穴を全て空けてから、かがり縫い
スタートとなります。

シニュー縫いは針を2本使用しますが、かがり縫いは1本の針で縫います。
縫い穴にレースをセットした針を通し、一旦後退させ、既に通したレースに絡ま
せてから次の穴に進む。といった具合に、レース同士を絡ませながら進める手順
となります。

シニュー縫いよりも遥かに時間を擁するかがり縫いですが、完成された作品はボ
リューム溢れる豪華な仕上がりとなり、シニュー縫いに比べると圧倒的な存在感
を放ちます。

また、レースを染色する事により、お好みの色のレースで仕立てる事が出来ます。

レースカラーの詳細は【SELECT】からお選び下さい。

【コバ磨き】

コバとは革の切り口や側面の事を呼びます。
コバの名称のルーツは、重ねた革の切り口が木目(木の端)の様に見える事から、
木端(コバ)と呼ばれた事がきっかけとされています。

コバは一見目立たぬ箇所でありますが、幾つもの工程を重ね丁寧に磨きあげます。
磨き込まれたコバは数枚重ねた革であっても、1枚革と勘違いされるほど美しく
仕上げます。また、触り心地も格段に向上するに加え、摩耗や衝撃による強度も、
磨く前と磨き終わった後では雲泥の差となります。

たかが側面を磨くだけと思われがちですが、コバの仕上がりが作品のクオリティ
ーを左右すると言っても過言でない大事な箇所です。
その一方で数ある革作業の工程でも、最も手を抜ける作業でもあります。
繰り返し行われる地道な作業に、心が挫けそうになる事もありますが、より良い
作品を生み出す為に、一切妥協する事なく、納得のいくまで丹精込めて磨き上げ
ます。

尚、コバを磨く事により仕上がりが向上出来るのは、ヌメ革ならではの特性であ
り、クロム革ではコバを磨く事は出来ません。

また、コバの染色次第では作風も随分と変わりますので、好みのイメージに合わ
せたコバに仕上げられます。

コバカラーの詳細は【SELECT】からお選び下さい。

革を2枚張り合わせて磨く前の状態。

磨き終わると、この様に仕上がり、革を張り合
わせた境界が消える美しさとなります。
仕上げは染色をしていないナチュラル仕様。

【金具】

・素材への拘り

革作品を作る上で付属金具は必要不可欠な存在です。
そんな革とのパートナーになる金具の材質ですが、ニッケル・ゴールド・鉄・ブ
ロンズなど、実に様々な素材があり、使用する金具次第で作品の印象は随分と違
う印象になります。

当工房で取り付ける金具ですが、革との組み合わせを尊重し、シルバー925と真
鍮無垢を中心に展開しております。

・シルバー925

「シルバー925」の「925」という数字は、92.5%が銀である事を意味します。
残りの7.5%は銅などの他の金属であり、これらを銀と混ぜて合金する事で、シ
ルバー925となります。

一見銀100%の方が質が良さそうですが、銀という素材は非常に柔らかく、純度
100%ではアクセサリーなどに使うには難しい為、銅などを配合する事により、
アクセサリーなどを細工する上で適した堅さを持たせています。

また、スターリングシルバーとも呼ばれ、スターリングとは「本物・価値のある」
といった意味があり、当工房で取り扱うコンチョはシルバー925を使用します。

・真鍮無垢    

ブラスや黄銅とも呼ばれる真鍮ですが、色合いはゴールドに深みを増し、渋さを
加えた雰囲気です。身近なモノでは、五円玉がイメージしやすい例となります。

その五円玉ですが、真新しい五円玉と使い込んだ五円玉では同じ材質と思えない
程のアンティークな雰囲気になります。
これは使い込む事で革同様に経年変化を遂げる、真鍮ならではの魅力であります。

真鍮製でも生粋の真鍮無垢と、真鍮メッキがあります。
そこの表記は実に曖昧で、メッキでも真鍮製と謳う業者も存在します。
決して間違いではないのですが、メッキは長年使用する事で剥げてしまい、せっ
かく味の出る真鍮の役割もメッキと共に剥がれてしまいます。

なので、当工房で使用する金具は革同様に長年付き合いが楽しめる様、殆どの金
具をメッキではなく、真鍮無垢を中心に展開しております。

・ヴィンテージジッパー

ファスナーは拘りのWALDESヴィンテージジッパーを使用します。
WALDESは1940年代にアメリカのTALON社に存在していたジッパーブランドで
す。絶大な人気を集めていたWALDESですが、時代と共に風化してしまいます。
それを日本の朝日ファスナー社が商標権を得て復元し、当時の製法に拘って制作
している、重厚感溢れるファスナーであります。

金具素材が真鍮に近い丹銅であり、メッキ加工ではないので、革同様に経年変化
が楽しめる素材です。

綿テープは歴史ある力織機で製造しており、ほつれにくく、強度のあるテープに
仕上がっています。また、綿のカラーも数多く製造しておりますので、お好みの
色をセレクトする事も出来ます。

綿のカラー詳細は【SELECT】からお選び下さい。

【カービング】

・カービングとは?

カービングとは、革の表面に凹凸を出し、立体感生み出す技法です。
スーベルナイフという特殊なナイフを用いてカットワークを施し、複数の刻印を
叩き込む事により、革の表面に陰影を付けます。

真っ白なキャンバスに絵を描く。といった感覚に似ていますが、レザーカービン
グにおいては、「好きな絵に立体感を出す」という革の質感を活かした魅力があ
ります。

この技法はタンニン鞣しの特性である、革を水で濡らすと柔らかくなり、乾かす
と硬くなる可塑性を利用しており、水で濡らしてカービングに適した柔らかさの
状態でカット&刻印作業を行います。
濡らして柔らかくせずにカービングも出来ますが、彫り込みの深さが極端に浅く
なるので、カービングに適した柔らかさの状態での作業が好ましいのです。

カービング作業終了後、濡らした革を完全に乾かすと元通りの硬さに戻ります。
また、作業中に水分を加える事で油分が抜けますので、オイルを補充して油分を
補う事も大事な作業です。

・作業手順    

カービングのおおまかな手順は、下書き→カット→刻印→染色→アンティーク。
という流れになります。それぞれの工程に合わせ、数多くの専用工具を駆使して
1つの作品へと仕上げていきます。

これから左写真のシェリダンとスタンプスタイルを組み合わせたブックカバーが
完成するまでの手順を、写真を添えて説明させて頂きます。

作業手順は作者によって異なりますので、今回披露する進め方は当工房で作品が
出来上がるまでの手順として解釈して頂ければ幸いです。

まずは、鉄ペンを用いてデザインを起こした図案を革の表面にトレースします。

次に先程トレースした下書きの線に沿って、スーベルナイフでカットします。
カットワークのポイントは、カットする際に力の強弱を付ける事です。
「a」の文字をカットする場合、最後は「シュッ」と抜ける様を終わらせると文字
に躍動感が出ます。単調に下書きに沿ってカットするのではなく、太くカットし
たい箇所、細くカットしたい箇所を意識しながら、慎重かつ丁寧にカットします。

カット作業を終え、この後に刻印作業となります。

左写真はこれから使用する刻印一覧です。
シェリダンスタイルは特に刻印の種類が必要とされるスタイルで、今回の図案で
すと20本以上の刻印を使用する事となります。
1つ1つ特徴の異なる刻印を、それぞれの役割を果たす箇所に打つ事で、1つの
作品へと導きます。

まず、花の中心、花びら、ツルの先端となる箇所に刻印を打ちます。
刻印を打ち終わった場所が茶色く変色しますが、この茶色は革の中に含まれるタ
ンニンの色となります。

続いてシェリダンと組み合わせるスタンプの刻印を打ちます。
今回のデザインで使用するスタンプ模様を単発で打つと、この様な柄となります。

この刻印を重ね合わせながら1列に打つと、段々と全体像が見えてきます。

スタンプで使用する範囲を打ち終わりました。

スタンプは重ねたり、真横に打つ事で奇麗な模様として成り立ちますが、1mm
でもズレてしまいますと、全体のバランスに歪みが生じてしまいますので、大変
神経を使う作業となります。

また、今回使用したスタンプ模様を変更し、他のスタンプを打つ事も出来ます。
スタンプの詳細は【SELECT】からお選び下さい。

続きまして花の実と、花びらの細かい刻印・ツルと花の間の背景となる刻印を打
ちます。

最後に輪郭となる刻印を打ちます。
輪郭の打ち方は刻印を1mmずつズラし、連打しながら打刻します。
連打でありながら、均一な力で打つ事で奇麗なラインとなり表現されます。

また、カットワーク同様打ち終わりになるにつれフェードアウトするので、除々
に力を弱めながら打刻します。

輪郭となる刻印は、花と葉・ツル・枠・ツルとスタンプが面している箇所・スタ
ンプと枠が面している箇所毎に打ち分けし、メリハリのある作品へと仕立てます。

全ての刻印が終了した後に、再度スーベルナイフを使い、花やツルにデコレーシ
ョンカットを加えて完成となります。

ここまで機械は一切使わず、全て手彫り、手打ちでの作業となります。
刻印は打つ箇所により力の強弱や角度を変えるなどの工夫をし、今回の作品を仕
上げるので数1000回から数10000回は打刻する事となります。

また、一度カットor打刻した革は元に戻す事は出来ませんので、長時間にかけて
集中力が必要とされる技法です。

この状態で染色を施さない、ナチュラルスタイルとしても取り扱いますが、ここ
から染色→アンティークと塗料の作業に切り替わります。

【染色】

染色の種類は大きく分けて顔料と染料に分かれます。

顔料は革の表面に絵の具を塗る。といった感じですが、染料は革に直接染み込ま
せる染色であり、革の風合いを損なう事なく、自然な風合いで染色する事ができ
ます。当工房では顔料を使用する事なく、全て染料にて染色します。

また、染め作業は全て手染めにて染色しております。
染色は一度染めるだけではムラになってしまいますので、塗っては乾かし、塗っ
ては乾かしを数十回繰り返し、ムラがなく納得のいく色になるまで根気よく染め
上げていきます。
ここで、先程のカービングを終えた革に染色をします。
真ん中の箇所はダークブラウン、枠はイエロー、枠外はライトブラウン。花とツ
ルの間の背景箇所はミディアムブラウンと色分けして染色します。

今回はこの様な配色にて染色しましたが、真ん中部分をレッドにして、枠外はブ
ラックに出来たらいいのになぁ。などといったオーダーも対応しておりますので、
ご希望の配色がありましたら、お気軽に申し付け下さい。

染色の詳細は【SELECT】からお選び下さい。

カービングの流れとしまして、ここで一旦オイルを補充して、次に控えるアンテ
ィーク作業へと進みます。

【アンティーク】

アンティークとは刻印を打った溝に塗料を入れる染色方法です。
アンティーク材を入れる前に、ニスの役割を果たしてくれる材料を事前に塗りま
す。その後で、溝の部分を埋め込む様にアンティーク剤を塗り、不要な分を拭き
取ると溝の部分にだけアンティーク材が残り、メリハリのある作品へとなります。

先程までの染色まで終えた作品に、アンティークのブラウンを入れます。
染色も同じ事が言えますが、茶色でも濃い色ほどシックで重厚感な印象を与え、
薄めの色になると柔らかい印象となりますので、ご希望の雰囲気に合わせたアン
ティークを入れる事が出来ます。

アンティークの詳細は【SELECT】からお選び下さい。

以上でカービング及び染色も終了となります。
この状態になって、ようやく仕立てる前の1つのパーツが完成となります。
おおまかな説明となりましたが、カービングの手順、ご理解頂けたでしょうか?

レザークラフトに携われる方でも、カービングをされる方は全体の1割程と言わ
れる幅狭き世界ですが、発想次第では様々なデザインがカービングによって表現
が可能であり、個性を引き出す魅力を無限大に秘めています。
当工房の得意とするデザイン以外でも「このデザインをお願いしたい!」という
要望があれば、最善と尽くし取り掛かりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

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